FreeBSD/pc98 5.3-RELEASE リリースノート FreeBSD プロジェクト Copyright (c) 2000, 2001, 2002, 2003, 2004 by FreeBSD ドキュメンテーシ ョン プロジェクト $FreeBSD: src/release/doc/ja_JP.eucJP/relnotes/common/new.sgml,v 1.97 2004/01/12 15:39:46 hrs Exp $ この FreeBSD 5.3-RELEASE 用リリースノートには、 5-STABLE 開発ブランチ の FreeBSD ベースシステムに対する最近の 変更点の概要が含まれています。 FreeBSD カーネルおよびユーザーランドにおける変更点、 前のリリース以降 に発行されたセキュリティ勧告が書かれています。 また、アップグレードの 際の注意点も載せてあります。 _________________________________________________________________ Table of Contents 1. はじめに 2. 更新情報 2.1. セキュリティ勧告 2.2. カーネルの変更点 2.2.1. プラットフォーム固有のハードウェアの対応状況 2.2.2. ブートローダの変更 2.2.3. ネットワークインターフェイスの対応状況 2.2.4. ネットワークプロトコル 2.2.5. ディスク・記憶装置 2.2.6. ファイルシステム 2.2.7. マルチメディアへの対応状況 2.3. ユーザランドの変更点 2.4. 寄贈ソフトウェア 2.5. Ports/Packages Collection インフラストラクチャ 2.6. リリースエンジニアリングと統合 2.7. ドキュメンテーション 3. 前のリリースの FreeBSD からのアップグレード _________________________________________________________________ 1. はじめに この文書は NEC PC-98x1 ハードウェアプラットフォーム用 FreeBSD 5.3-RELEASE のリリースノートです。 これは FreeBSD に最近追加、変更、削 除された機能について解説したものであり、 FreeBSD の前のバージョンから のアップグレードについても言及しています。 この FreeBSD 5.3-RELEASE 配布物は release 配布物です。 この配布物はあ らゆるミラーの ftp://ftp.FreeBSD.org/ で見つけることができます。 この (もしくは他の) FreeBSD の release 配布物を取得する方法 は FreeBSD ハン ドブック の 付録 ``FreeBSD を取得する'' を参照してください。 FreeBSD release の 5-STABLE 系列をはじめて利用するユーザは、まず ``FreeBSD 5.3-RELEASE 初期利用者の手引き'' をご覧ください。 この文書は (FreeBSD 配布ファイルの一部として、 もしくは FreeBSD ウェブサイト上の) リリースノートと同じ場所に置かれており、 FreeBSD 4-STABLE 開発ブランチ をベースにしたリリースと比較して、 FreeBSD 5.3-RELEASE を利用する際の 利点と欠点について重要な情報が書かれています。 FreeBSD をインストールする前に、必ずそのリリースの errata 文書をお読み ください。 errata 文書には、リリース工程の最後やリリース後に判明した ``最新の'' 情報が書かれています。 通常これに含まれているのは、既知のバ グ、セキュリティ勧告、 文書の訂正です。FreeBSD 5.3-RELEASE の最新版 errata 文書は、FreeBSD ウェブサイトから入手できます。 _________________________________________________________________ 2. 更新情報 この節では 5.2.1-RELEASE 以降に新たに追加・変更された ユーザに影響する 機能について説明します。 これには他のブランチ (FreeBSD 5.3-RELEASE 以 降) へと 最近マージされた機能に加えて、5-STABLE ブランチ に固有の項目 も含まれます。 リリースノートには、 5.3-RELEASE 以降に出されたセキュリティ勧告、 新し いドライバやハードウェア対応、 新しいコマンドやオプション、重要なバグ フィックスや寄贈ソフトウェア のアップグレード、 ports/packages やリリ ースエンジニアリング工程に関する大きな変更点が 書かれています。リリー スノートには、リリース間に加えられた FreeBSD の全変更点が書かれている わけではありません。 記載されている情報は、セキュリティ勧告、ユーザに 影響のある変更、 既存の構造に対する大きな改良点が中心としたものです。 FreeBSD に加えられた変更点のうち、 スペースの都合上ここに書かれていな いものも多数存在します。 それらはたとえば文書の修正や改良、ごく影響の 小さいバグの修正、 監査で見つかったセキュリティ上好ましくないスタイル で書かれたコードの修正、 ソースコードの整理などです。 _________________________________________________________________ 2.1. セキュリティ勧告 realpath(3) 関数の実装にあった 1 バイトのバッファオーバフローを引き起 こすバグが修正されました。 この修正は FreeBSD 5.2.1-RELEASE の公開前に 行われました (したがって、5.2.1-RELEASE には影響がありません) が、リリ ース文書には記載されていませんでした。 詳細はセキュリティ勧告 FreeBSD-SA-03:08 をご覧ください。 [MFC 済] カーネルに不正なシグナルの配送を可能にするバグが修正されました。 この バグは、カーネルパニックを引き起こしたり、 特定の状況ではカーネルメモ リを不正に改変できる可能性があります。 詳細はセキュリティ勧告 FreeBSD-SA-03:09 をご覧ください。 [MFC 済] カーネルメモリの内容が漏洩する可能性がある iBCS2 エミュレーションモジ ュールのバグが修正されました。 なお、このモジュールはデフォルトでは有 効になっていません。 詳細はセキュリティ勧告 FreeBSD-SA-03:10 をご覧く ださい。 [MFC 済] OpenSSH のバッファを管理する コードにあったクラッシュを引き起こす可能 性があるバグが修正されました。 詳細はセキュリティ勧告 FreeBSD-SA-03:12 をご覧ください。 [MFC 済] sendmail のバッファオーバフロー問題が修正されました。 詳細はセキュリテ ィ勧告 FreeBSD-SA-03:13 をご覧ください。 [MFC 済] ARP キャッシュコードにあった、カーネル資源を枯渇させ、 システムパニッ クを発生させる可能性があるバグが修正されました。 詳細はセキュリティ勧 告 FreeBSD-SA-03:14 をご覧ください。 [MFC 済] OpenSSH の PAM チャレンジ/レスポンス認証サブシステムにあったいくつかの 誤りが修正されました。 これらのバグの影響には、さまざまなものが存在し ます。 詳細はセキュリティ勧告 FreeBSD-SA-03:15 をご覧ください。 [MFC 済] カーネルメモリの内容が漏洩する可能性がある procfs(5) と linprocfs(5) のバグが修正されました。 詳細はセキュリティ勧告 FreeBSD-SA-03:17. をご 覧ください。 [MFC 済] OpenSSL にあった 4 種類の セキュリティ上の弱点が修正されました。 この バグは、リモートの攻撃者が OpenSSL を利用するアプリケーションをクラッ シュさせたり、 アプリケーションの権限で任意のコードを実行できる可能性 があります。 詳細はセキュリティ勧告 FreeBSD-SA-03:18 をご覧ください。 [MFC 済] BIND において、サービス妨害の可能性があったバグが修正されました。 詳細 はセキュリティ勧告 FreeBSD-SA-03:19 をご覧ください。 [MFC 済] _________________________________________________________________ 2.2. カーネルの変更点 DRM カーネルモジュールが DRI CVS リポジトリの 2003 年 11 月 12 日時点 のコードに更新されました。 この変更には、最近移植された SiS 300/305/540/630/730 ドライバの 統合と、SMPng のロック対応が含まれてい ます。 新しく``ダムコンソール''ドライバ dcons(4) が追加されました。これは、ロ ーカルとリモートコンソールに対応したもので、 dcons_crom(4) ドライバを 使うことで FireWire 経由でアクセスすることが可能です。 ユーザからは、 dconschat(8) ユーティリティを使うことで dcons(4) デバイスにアクセスす ることができます。 マルチバイト文字集合の変換メソッドに対応する LIBICONV カーネルオプショ ンが追加されました。 hifn(4) ドライバが 7955 および 7956 チップセットの対称暗号機能に対応し ました。 [MFC 済] puc(4) (PCI Universal Communications) ドライバが ppc(4) ドライバを 経 由したパラレルポートへの接続に対応しました。 safe(4) ドライバが追加されました。 これは SafeNet 1141 ベース、1741 ベ ースの 暗号処理アクセラレータに対応しています。 [MFC 済] Warningこのドライバは試験的なものと考えられています。 使用には注意 してください。 Note: 公開鍵暗号機能には対応していません。 新しく uart(4) ドライバが追加されました。 これはさまざまな種類の UART (Universal Asynchronous Receiver/Transmitter) デバイスに対応したもので 、sio(4) ドライバに似ていますが、 対応しているデバイスの数がより多くな っています。 このドライバは ia64 や sparc64 といった、 いくつかのアー キテクチャでシリアルポートに対応するために必要です。 カーネルにソフトウェアウォッチドッグ機能が実装されました。 詳しくは watchdog(4) と watchdogd(8) をご覧ください。 スワップページャの実装が刷新されました。 ユーザに見える変更点は、 I/O スループット向上のためにレイアウトポリシが 固定幅のストライピングから 複数デバイスのラウンドロビン方式に変更されたこと、 コンパイル時に指定 していたスワップデバイス数の上限がなくなったこと、 メモリオーバヘッド が減少したことなどがあります。 _________________________________________________________________ 2.2.1. プラットフォーム固有のハードウェアの対応状況 割り込み経路の制御と SMP 対応を改良するため、 i386 マシン固有コードに 大幅な変更がおこなわれました。 浮動小数点エミュレーションが削除されました。 一部の Pentium 4 CPU、古い Pentium Pro と Pentium II CPU における問題 への対処が追加されました。 この不具合による症状は、そのほとんどが メモ リ破壊や原因不明のクラッシュとして現れていました。 _________________________________________________________________ 2.2.2. ブートローダの変更 _________________________________________________________________ 2.2.3. ネットワークインターフェイスの対応状況 ath(4) および ath_hal(4) ドライバが新しく追加されました。 これは 、AR5210, AR5211, AR5212 ベースの 802.11a/b/g デバイスに対応しています 。 bfe(4) ドライバが新しく追加されました。 これは、Broadcom BCM4401 ベー スの Fast Ethernet アダプタに対応しています。 bge(4) が Broadcom 5705 ベースの Gigabit Ethernet NIC に対応しました。 [MFC 済] bge(4) にあったバグが修正され、 10Mbps で正常に動作するようになりまし た。 em(4) ドライバが、ドライバを再コンパイルしなくても、 割込みの遅延量を sysctl 変数を利用して調整できるようになりました。 fatm(4) ドライバが新しく追加されました。これは Fore/Marconi PCA200 ATM カードに対応した NATM と NgATM 用のドライバです。 harp(4) ドライバが新しく追加されました。 これは HARP (Host ATM Research Platform) 用の仮想的な物理インタフェースドライバです。 システ ムのすべての NetGraph ATM インタフェースにアタッチし、 HARP スタックに 、 各インタフェースに対応する物理インタフェースを提供します。 hatm(4) ドライバが新しく追加されました。 これは、Fore/Marconi HE155, HE622 ATM カードに対応しています。 patm(4) ドライバが新しく追加されました。 これは、IDT77252 ベースの ATM インタフェースに対応しています。 re(4) ドライバが追加されました。 これは、 RealTek RTL8139C+、RTL8169 、RTL8169S、RTL8110S PCI Fast Ethernet コントローラおよび Gigabit Ethernet コントローラに対応しています。 sk(4) ドライバが SK-9521 V2.0 と 3COM 3C940 ベースの Gigabit Ethernet NIC に対応しました。 [MFC 済] 新しく utopia(4) ドライバが追加されました。 これは、多くの ATM-PHY チ ップで使われている 25MBit/sec, 155MBit/sec. 622MBit/sec の ATM 物理層 の設定、状態・統計の取得に対応したものです。 wi(4) ドライバのサスペンド/レジューム対応が デバイスを down 状態にして いる時にも正しく動作するようになりました。 [MFC 済] wi(4) ドライバが、Lucent 802.11b インタフェースで正しく動作するように なりました。 802.11 対応レイヤが、 拡張や新機能の追加が可能なように書き直されました 。 xe(4) ドライバが CE2, CEM28, CEM33 カードに対応し、 マルチキャスト ( multicast(4)) データグラムに対応しました。また、 ドライバにあったいく つかのバグも修正されています。 数多くのネットワークドライバの割り込みハンドラが MPSAFE になりました 。MPSAFE とは、ジャイアントロック (Giant lock) なしに動作可能という意 味です。そのように変更されたドライバには、 ath(4), em(4), ep(4), fxp(4), sn(4), wi(4), sis(4) などがあります。 _________________________________________________________________ 2.2.4. ネットワークプロトコル IPv4 プロトコル実装における ip_flow 機能が、 ip_fastforward 機能で置き 換えられました。 ip_fastforward 機能は、 送出インタフェースに向かうパ ケットをキューや netisr を使わずに処理することで、単純なパケットの回送 を高速化しようというものです。 処理できないパケットがあった場合、通常 の ip_input ルーチンに渡されて処理されます。この機能は sysctl 変数 net.inet.ip.fastforwarding を 1 にすると有効になります。 IP_ONESBCAST オプションが追加されました。 これを有効にすると、特定のネ ットワークインタフェースに送られる すべての ip(4) ブロードキャストを、 強制的にリミテッドブロードキャストアドレスに向けることが可能です。 options IPFILTER 機能を有効にする際には、 options PFIL_HOOKS の追加が 必要になりました。 ipfw(4) limit ルールの処理に含まれていた、 システムパニックを発生させ る可能性のあるバグが修正されました。 [MFC 済] ipfw(4) ルールに、カンマで区切られたアドレスリスト (たとえば 1.2.3.4, 5.6.7.8/30, 9.10.11.12/22) が使用できるようになりました。また、可読性 を向上させるため、 カンマの後ろに空白文字を入れることも可能になってい ます。 [MFC 済] ipfw(4) ルールに、C++ 風のコメントが書けるようになりました。 各コメン トはルールと同じ場所に格納され、 ipfw(8) show コマンドでルールと一緒に 表示させることができます。 [MFC 済] ipfw(8) を使って、ルールセット 31 にある ipfw(4) ルールが変更できるよ うになりました。 従来のルールセット 31 は、デフォルトのルールを格納す るために 使われる読みとり専用のルールセットでしたが、 この変更により ipfw delete set 31 という コマンドを使って、ルールセット 31 を削除する ことができるようになっています。 ただし、このルールセットは ipfw flush コマンドでは削除されません。つまり、このルールセットを使うと、 一種の ``永続ルール'' を記述することが可能になります。 詳細については、 ipfw(8) に書かれています。 [MFC 済] ng_atmpif(4) NetGraph ノードタイプが追加されました。 これは HARP 物理 インタフェースをエミュレートし、 ハードウェアが実在しなくても HARP ATM スタックを動作させることができます。 カーネルが Protocol Independent Multicast ルーティング (pim(4)) に対応 しました。 [MFC 済] FreeBSD の Bluetooth プロトコルスタックが更新されました。 * libsdp が BSD 風のライセンスで再実装されました。これは、 Linux BlueZ に含まれるコードが GPL で配布されていたためです。 * hccontrol(8) ユーティリティが Read/Write_Page_Scan_Mode 、Read/Write_Page_Scan_Period_Mode という 4 個の新しいコマンドに対 応しました。 * hcsecd(8) デーモンが、 リンクキーをディスクに保存するようになりま した。 毎回、デバイスを合わせる必要はなくなっています。 * ng_hci(4) および ng_l2cap(4) カーネルモジュールに含まれていた、 解 放されたデータ構造体にアクセスする可能性のあった NetGraph タイムア ウト問題が修正されました。 * FreeBSD 5.2.1-RELEASE で構築できなかった ng_ubt(4) モジュールが修 正されました。 * rfcomm_sppd(1) および rfcomm_pppd(8) が、 サーバから SDP 経由で RFCOMM チャネルを取得できるようになりました。 RFCOMM チャネルを手 動で設定すると、これらのユーティリティは SDP 経由での取得をおこな いません。 * Linux BlueZ SDP パッケージに含まれる sdptool ユーティリティに似た sdpcontrol(8) ユーティリティが追加されました。 IPv6 および IPSec のコードおける数多くの修正と更新が、 KAME プロジェク トから統合されました。 IPv6 Advanced Sockets API 対応が RFC 2292 ではなく RFC 3542 (別名 RFC 2292bis) に準拠しました。 この API を使っているアプリケーションも、そ れに応じて更新されています。 RFC 3484 に含まれているソースアドレス選択 (source address selection) 機能が追加されました。アドレス選択ポリシの設定には、 ip6addrctl(8) ユ ーティリティが使用できます。 TCP 実装に tcp_hostcache 機能が追加されました。 これは過去の TCP セシ ョンのパラメータをキャッシュし、 以降に発生する同一の送信元アドレス・ 送信先アドレスの接続において、 より適切な初期値を与えることを可能にし ます。 経路表に格納されていた、同じような情報は削除されました。 _________________________________________________________________ 2.2.5. ディスク・記憶装置 amr(4) ドライバがクラッシュダンプ機構に対応しました。[MFC 済] ata(4) ドライバが大きく書き直されました。 大きな変更の一つは、ata(4) ドライバの ジャイアントカーネルロックが外されたことです。 従来、ATA の ソフトウェア RAID システムは device atadisk を指定するだけで 自動的に 利用できるようになっていましたが、 現在は、明示的にカーネルコンフィグ ファイルに device ataraid を追加する必要があります。 ccd(4) が raw ディスクおよび、その他の geom(4) プロバイダに対して動作 するようになりました。 da(4) ドライバが、USB デバイスと FireWire デバイスに 6 バイトコマンド を送出しないようになりました。 現在、この回避策は (不要になったと思わ れるため) 無効にされています。 従来の動作に戻すには、options DA_OLD_QUIRKS を カーネルコンフィグファイルに追加してください。 [MFC 済] geom_apple, geom_bde, geom_bsd, geom_gpt, geom_mbr, geom_pc98, geom_sunlabel, geom_vol_ffs といった、さまざまある geom(4) モジュール が、 カーネルモジュールとして読み込み可能になりました。 マルチパスストレージデバイスの検出や、アクセスパス選択を可能にする GEOM_FOX モジュールが追加されました。 twe(4) ドライバが 3ware 汎用 API に対応しました。 [MFC 済] _________________________________________________________________ 2.2.6. ファイルシステム cd9660、msdosfs、ntfs, udf ファイルシステムが マルチバイト文字変換に対 応しました。 それぞれ、カーネルオプション CD9660_ICONV, MSDOSFS_ICONV, NTFS_ICONV, UDF_ICONV をカーネルコンフィグファイルに指定してください。 smbfs が 15 文字の NetBIOS 名で正しく動作するのを阻害していた いくつか の一つ違い (off-by-one) の誤りが修正されました。 テラバイトオーダのファイルシステムに対応するため、 statfs 構造体に含ま れるいくつかのメンバ変数の大きさが、 32 ビットから 64 ビットに変更され ました。 * この変更の前後でソースを使ってアップグレードする場合は、 次のソー スアップグレード手順に従って作業し、 カーネルとユーザランドを同期 させていなければなりません。 * statfs(2) システムコールの後方互換バージョンは、 COMPAT_FREEBSD4 カーネルオプションが追加されている場合にのみ利用できます。 このオ プションを追加しておくことを強く推奨します。 * statfs(2) を使っているプログラムは、 再構築する必要があります。再 構築が必要だと判明しているものには、 devel/gnomevfs2, mail/postfix , security/cfg などがあります。 ミシガン大学の Citi NFSv4 クライアント実装が統合され、 NFSv4 に対応し ました。 詳細は、mount_nfs4(8) および idmapd(8) のマニュアルページをご 覧ください。 _________________________________________________________________ 2.2.7. マルチメディアへの対応状況 _________________________________________________________________ 2.3. ユーザランドの変更点 i386 専用の a.out コンパイラツールチェインが完全に削除されました。 acpiconf(8) に、バッテリの状態を表示する -i オプションが追加されました 。 ACPI DSDT デバッガ acpidb(8) が追加されました。 arp(8) に、ARP エントリに対する操作の影響範囲を 特定のインタフェースに 限定する -i オプションが追加されました。このオプションは、 情報を表示 させる操作にのみ適用されます。多くのインタフェースを 搭載したルータな どに有用なオプションです。 [MFC 済] asf(8) ユーティリティが追加されました。 これは、KLD から gdb(1) デバッ グ環境にシンボルファイルをロードするためのものです。 atmconfig(8) が追加されました。 ATM ドライバと IP over ATM 機能の設定 を行います。 chroot(8) が、chroot 環境で使うユーザとプライマリグループ、 グループリ ストの設定に対応しました。 設定にはそれぞれ、-u, -g, -G オプションを使 います。 [MFC 済] compat4x.i386 ライブラリが、FreeBSD 4.9-RELEASE に対応したものに更新さ れました。 dhclient(8) が ネットワークインタフェースの状態をポーリングするように なり、 動作中のインタフェースに対してのみ DHCP 要求を送出するようにな りました。 ポーリング間隔は -i オプションで制御することができます。 fsck(8) で作成される lost+found のデフォルトモードが、01777 から 0700 に変更されました。 [MFC 済] fsck_ffs(8) および newfs(8) が、 各ファイルシステムのルートディレクト リに operator グループで .snap ディレクトリを作成するようになりました 。 fsck_ffs(8), mksnap_ffs(8), dump(8) は、 それぞれのファイルシステム スナップショットをこのディレクトリに書き込みます。 この変更は、スナッ プショットの作成中にファイルシステムのルートディレクトリへの アクセス をロックしないようにするため、また、root 以外のユーザがスナップショッ トを作成できるようにするためのものです。 ffsinfo(8) ユーティリティが UFS2 ファイルシステムを解釈するに更新され 、 再びベースシステムに含まれるようになりました。 iasl(8) ユーティリティが追加されました。 これは、ACPI Source Language (ASL) と ACPI Machine language (AML) の コンパイラ・逆コンパイラです。 ifconfig(8) に新しいオプション staticarp が追加されました。これは、そ のインタフェースから ARP 要求の送出をしないよう指定するためのものです 。 initgroups(3) ライブラリ関数の修正により、 login プロセスがプロセスの 権限として、そのユーザが所属する すべての グループが設定できなかった場 合、 ログインが失敗するようになりました。 現在のカーネルにおける制限は 、16 グループです。 管理者は、ユーザが 16 グループ以上に所属していない ことを 確認することをおすすめします。もし所属グループ数が 16 を超えて いると、 ログインすることができなくなります。 ipfw(8) list および show コマンドで、ルール番号を範囲で指定することが できるようになりました。 [MFC 済] ipfw(8) に、実際の動作を行なわずにコマンドの文法だけをチェックする -n フラグが追加されました。[MFC 済] kdump(1) に、特定のプロセスに対応するイベントのみを追跡する -p オプシ ョンと、ダンプ開始時点からの相対的な 時刻を表示する -E フラグが追加さ れました。 last(1) に、出力の行数を制限する -n フラグが追加されました。 libalias ライブラリ、natd(8) および ppp(8) が Cisco Skinny Station プ ロトコルに対応しました。 このプロトコルは Cisco Call Manager と通信す るために Cisco 製の IP 電話によって利用されています。 ただし現時点では 、NAT ゲートウェイの後ろに Call Manager を置く構成には 対応していませ ん。[MFC 済] libcipher DES 暗号ライブラリが削除されました。 これらの機能はすべて libcrypto ライブラリで 提供されているもので、ベースシステムに含まれて いる libcipher を使っていたプログラムは、 すべて libcrypto を使うよう に変更されています。 カーネルに読み込み可能な文字集合変換テーブルの操作をおこなう libkiconv ライブラリが追加されました。 libwrap および tcpdchk(8) が、 デフォルトで tcp_wrappers 拡張文法に対 応するようになりました。 locale(1) ユーティリティが再実装され、POSIX 標準に準拠しました。新しく 追加された -m オプションは 利用可能なすべてのコードセットを表示します 。 -v フラグを指定して mount(8) ユーティリティを 実行した場合に、通常の情 報に加えて各ファイルシステムのファイルシステム ID が表示されるようにな りました。このファイルシステム ID は、 umount(8) ユーティリティでデバ イスファイルや マウントポイントのパス名の代わりに使用することができま す。 この機能を使うと、同じデバイス名やマウントポイント名を使って 複数 のファイルシステムをマウントしている場合に、 アンマウントするファイル システムを正確に指定することが可能です。 mount_cd9660(8), mount_ntfs(8), mount_udf(8) ユーティリティに -C オプ ションが追加されました。 これは Unicode ファイル名の変換先になるローカ ルの文字集合を指定するもので、 マルチバイト文字集合を指定することが可 能です。 mount_msdosfs(8) ユーティリティに、 ファイルシステム中のディレクトリに 対する最大のファイル許可属性を指定する -M オプションが追加されました。 [MFC 済] mount_msdosfs(8) ユーティリティに、 MS-DOS コードページを指定する -D オプションと ローカル文字集合を指定する -L オプションが 追加されました 。 これらのオプションはファイル名の文字集合変換に使われます。 これによ り、/usr/libdata/msdosfs にあった 文字集合変換テーブルは廃止されました 。 mount_nwfs(8), mount_portalfs(8), mount_smbfs(8) ユーティリティが /sbin から /usr/sbin に移動しました。 (以前はシェルスクリプトだった) nologin(8) プログラムが C 言語で再実装 されました。 rc.conf(5) にある、ntpd(8) の起動オプションを設定する変数 ntpd_flags がデフォルトで -f /var/db/ntpd.drift を含むようになりました。 ゲストログインに対応する pam_guest(8) PAM モジュールが追加されました。 これは pam_ftp(8) モジュールを置き換えるものです。 ps(1) と top(1) に、各プロセスのカーネルスレッドを表示する -H オプショ ンが追加されました。 rarpd(8) にあった、 着脱可能な Ethernet NIC を認識しないというバグが修 正されました。 repquota(8) に、ユーザとグループを数値で表示する -n フラグが追加されま した。 rtld(1) がデフォルトで ``libmap'' 機能に対応するようになりました。 こ の変更により、コンパイル時の変数 WITH_LIBMAP は不要となり、廃止されて います。 詳細は libmap.conf(5) をご覧ください。 savecore(8) に、コアダンプファイルが存在するかどうかのみを 表示する -C フラグが追加されました。 カーネルの全部分が ELF フォーマットに移行したことにより a.out フォーマ ットのツールチェインが使用されなくなったため、 不要になった symorder ユーティリティが削除されました。 sysinstall(8) にインストール中に 代替 MTA を選択する機能が追加されまし た。 現在、exim と Postfix を選択することができます。 sysinstall(8) の ``セキュリティプロファイル'' 対応が廃止されました。同 等の機能は、sshd(8) の項目を個々に設定したり、 システムのセキュアレベ ルを設定することで実現できます。 systat(1) が IPv6 および ICMPv6 のトラフィックを表示するようになりまし た。 [MFC 済] uname(1) に、カーネル識別子を表示する -i フラグが追加されました。この 識別子は、kern.ident という sysctl 変数からも得ることが可能です。 /bin および /sbin にあった多くのユーティリティは、 静的リンクされたク ランチバイナリ (crunched binary) として /rescue にも置かれるようになり ました。 このディレクトリの目的は sysinstall(8) でインストールされる /stand ディレクトリと同じようなものですが、 /rescue にはより多くのプロ グラムが置かれ、 buildworld/installworld の操作で更新されるようになっ ています。 詳細は rescue(8) をご覧ください。 /bin ディレクトリおよび /sbin ディレクトリにあるたくさんの実行ファイル が、 静的リンクではなく動的リンクで構築されるようになりました。 これに より、ベースシステムユーティリティが読み込み可能な PAM モジュールや NSS モジュールに対応できるようになりました。 また、共有ライブラリを使 用することで ルートファイルシステムに必要とされるディスク容量が削減さ れました。 この機能は buildworld の際に 変数 NO_DYNAMICROOT を定義して 無効にすることができます。 また、システムの修正や復旧作業用に、静的に リンクされ、 crunch された実行ファイルが、 /rescue ディレクトリに置か れています。 _________________________________________________________________ 2.4. 寄贈ソフトウェア ACPI-CA コードが、 20030228 スナップショットから 20030619 スナップショ ットに更新されました。 amd がバージョン 6.0.7 から、バージョン 6.0.9 に更新されました。 Bell Labs 由来の awk が 2003 年 3 月 14 日時点のスナップショットから 2003 年 7 月 29 日時点のスナップショットに更新されました。 BIND がバージョン 8.3.4 から、バージョン 8.3.7 に更新されました。[MFC 済] GCC が、バージョン 3.2.2 から、2003 年 11 月 6 日における 3.3.3 の post release snapshot に更新されました。 Note: GCC の前のバージョンは、 最適化オプション -march=pentium4 が 指定されていると誤ったコードを生成してしまいます。 今回の更新により その問題は修正されたと考えられており、 以前行っていた CPUTYPE が p4 の場合の回避策は削除されました。 GNU Readline がバージョン 4.2 から、バージョン 4.3 に更新されました。 GNU Sort が textutils バージョン 2.0.21 から、バージョン 2.1 に更新さ れました。 Heimdal Kerberos がバージョン 0.5.1 からバージョン 0.6 に更新されまし た。 ISC DHCP クライアントがバージョン 3.0.1rc11 から、バージョン 3.0.1rc12 に更新されました。 lukemftp がバージョン 1.6beta2 から、NetBSD の 2003 年 11 月 11 日時点 のスナップショットに更新されました。 OpenPAM が ``Dogwood'' リリースに更新されました。 OpenSSL がバージョン 0.9.7a から 0.9.7c に更新されました。 [MFC 済] sendmail がバージョン 8.12.9 から 8.12.10 に更新されました。[MFC 済] texinfo がバージョン 4.5 から、バージョン 4.6 に更新されました。 [MFC 済] タイムゾーンデータベースが tzdata2003a リリースから tzdata2003d リリー スに更新されました。[MFC 済] _________________________________________________________________ 2.5. Ports/Packages Collection インフラストラクチャ GNU_CONFIGURE が定義されている場合、 WRKDIR 以下にある すべての config.guess および config.sub ファイルが、 PORTSDIR/Template にあるも のと置き換えられるようになりました。 これは、古いバージョンのスクリプ トを含む ports が、ia64 や amd64 などの新しいアーキテクチャで構築でき るようにするための措置です。 _________________________________________________________________ 2.6. リリースエンジニアリングと統合 GNOME の対応リリースが 2.2.1 から 2.4 に更新されました。 [MFC 済] KDE の対応リリースが 3.1.2 から 3.1.4 に更新されました。 [MFC 済] _________________________________________________________________ 2.7. ドキュメンテーション 情報の重複をなくし、内容管理の効率化をはかるため、 ハードウェアノート にある、 特定デバイスの記述をシステムのマニュアルページに移動しました 。 このリリースの時点で、この作業はまだ進行中です。 トルコ語 (tr_TR.ISO8859-9) 翻訳プロジェクトが開始しました。 _________________________________________________________________ 3. 前のリリースの FreeBSD からのアップグレード 現存する FreeBSD システムからアップグレードするユーザは ``FreeBSD 5.3-RELEASE 初期利用者のための手引き'' を読むことを 強く 推奨します。 この文書は、通常 EARLY.TXT という名前で 配布物に収録されており、 また 、他のリリースノートが置かれているところにも一緒に置かれています。 こ の手引にはアップグレード時に注意を払うべき点に加え、 さらに重要な情報 として、 FreeBSD 4.X システムを使い続ける場合と FreeBSD 5.X へのアップ グレードした場合の、 それぞれの利点についてのまとめが書かれています。 Important: FreeBSD のアップグレードは、もちろん、 すべての データと 設定ファイルを バックアップしてからのみ行うべきです。 _________________________________________________________________ このファイルの他、リリース関連の文書は ftp://ftp.FreeBSD.org/ からダウ ンロードできます。 FreeBSD に関するお問い合わせは、 へ質問を投稿す る前に解説文書をお読みください。 この文書の原文に関するお問い合わせは まで、 日本語訳に関するお問い合わせは、 まで電子メール でお願いします。